西国分寺駅前いずみホールにて 大谷康子リサイタル
ほんの2日前には一面銀世界となった東京都下。
一転して暖かい日差しが戻ってきた日曜日に国分寺市にあるいずみホールにて大谷康子さんのリサイタルが行なわれました。
こちらは私たち有志の会が企画した自主公演。そのため宣伝にも限界があり満席にできなかったことは本当に悔やまれますが、大谷さんの軽妙なトークと圧巻のパフォーマンスはいらして下さったお客さまに満足していただくには余りあるものでした。
フランスの作曲家プーランクの没後60年にあたる今年、ヴァイオリンとピアノのためのソナタ、そしてピアノソロの2曲を入れたプログラムが組まれていました。
この時期でしたので「ヴァレンタインコンサート」としていましたが、大きな意味を持つのが副題の「〜今 この時に〜」に込められた大谷さんのお気持ちでした。
ウクライナがロシアの侵略を受けて1年になります。大谷さんはこのことに常に心を痛め、なぜ同じ人間同士でこのような諍いが起こるのか、そこに生きる人々の心情はいかばかりか…そのことに思いを馳せて選曲なさいました。
1936年に殺害された詩人ロルカを偲んで作曲されたヴァイオリンソナタ。おそらく多くのウクライナの市民の姿を重ね追悼の思いを込めて演奏なさったのだと思います。素晴らしい演奏でした。
大谷康子さんを知る方はそのかわいらしさもご存知でしょう。あの小柄な身体からほとばしるエネルギーはどこから…?そこには技術だけではない魂の力が宿っているのだと思います。
この演奏を聴けた方は本当に幸せだと思います(もっと生徒さんたちに聴かせたかった…!)
後半のフランクのソナタも力に溢れた素晴らしい演奏でした。この演奏はちょっとやそっと練習したくらいではできない…出せない音です。本当に圧巻でした。
また、ピアノの森田義史さんも素晴らしいピアニストです。
鍵盤楽器のピアノであれだけ音量を自由自在に操るピアニストはそういないでしょう。時にはヴァイオリンを支え、また時には主役として存分に響かせ最適のバランスを瞬時に見つけ出す。本当にもっと多くの方にお聴かせしたかったです。
チケットの売り上げが全ての資金である自主公演。赤字になったらみんなで補填。
それは確かにキツいのですが、それでもこうしてできたご縁を大切にしまた間近で演奏を聴かせていただきたい。そんなコンサートでした。
いらしてくださったすべての方に感謝いたします。ありがとうございました。
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